“公園”があったらいいのに

代表の鈴木です。

お読みいただきありがとうございます。

今回はみるみるEyetemでなにをしたいか?について遠回りでふわっとしたお話をさせてください。

進化と混迷

これまで多くの視能訓練士さんに出会ってきました。

50年の歴史を刻むこの職種、活躍されている年齢も幅広くなりましたね。

陰矢の如し…気がつけば自分自身40半ばになると、親子ほど離れたお若い方と出会うことも珍しくなくなりました。

わたしが眼科業界に入ったのは西暦2000年頃ですが、この20余年であらゆるものが変わりました。

ちょっと挙げるだけでもOCTの登場以来、画像診断機器が猛烈に進化。ちょっと前に非球面眼内レンズが出たな~と思っていたらイエロー→多焦点IOLも多品種が次々登場、術後の見えかた追求は信じられないハイレベルに。

こどもの近視も以前より早期化/強度化/増加しているようですし、あれだけ難しかったオルソケラトロジーレンズ処方がこれだけ多くの眼科で導入されているなんて信じられない思いです。

眼科医療の進化以上に変わったのは社会です。

いま注目のChat GPTのようなAI人工知能…いよいよ来たかと思いますよね。最初、とんちんかんな回答が出てこんなんじゃなぁと笑っていた人も、たった数か月で自己学習してしまう様に驚愕しているのでは。国会質問をAIで作ってみたとかもうジョークとしか思えません。

数十年後にはAIが外科手術までするようになるとか。

眼科医療DXも間違いなく数年で来ます。

テクノロジー進化の傍らで、

ウクライナ戦争のような75年前の遺物と思っていた先進国の陸戦が堂々と行われいまや世界は食糧危機前夜。19世紀ですか?

進化し続けていると思っていた世界は実は何も変わっていないのではと驚愕。

このいびつな世界観、全くわけがわかりません。

「がんばれ!」と言えない時代

我が国は20年…いや25年近く経済成長していません。

内戦状態の国を除けば世界中でこんな状態は日本だけ。

社会保険料や税金は上がり、一説には給与の半分は引かれているとか…江戸時代か。

正直、昭和後期と平成初期に青春だった世代としては全く考えられない現実があります。

経済が成長していれば、今日より明日 明日より明後日は良くなっている、自分の生活が向上するのだと無条件に信じることが出来て、努力も苦労も飲み込むことが出来ました。

それぞれが寝食忘れてひたむきに努力し、患者様お客様に尽くす、時として遠回りな苦労でも取り組めば必ず自分のものになり報われる…昭和的な考えが労働力の核心だったのではと思っています。

お若い世代の方々からすれば、ここまで読むと「おまえ何言ってんだ?」と思われた方も多いと思います。

世の中はとっくに変わっていて、いかに自分の生活を守るか、しっかり生き残るかが重要な時代。

これは環境に適応した人々の進化だと思っていますので、否定的には捉えていません。

隣の芝は青いのか

養成校で学び国家試験に合格し視能訓練士になられるまで、大変だったでしょう?

学費も信じられないほど高いし、隣の芝生は青く見えるといいますが入職後もPTはいいな、普通のOLさんは良いな、メーカーの営業はいいなと思ったりすることもあるかもしれません。

視能訓練士は恵まれていますよ!などと説教じみたことをいう気はありません。

たぶん、いまこの国で恵まれている職業って無いんじゃないかと思っています。

普通のOLさんなんてほとんどいません。時給の高いアルバイトもありますがぜひ一度働いてみてください。社会保険だの雇用保険だのごっそり引かれて振込金額に驚かれると思います。

各企業はホワイト化していますが表面的な柔らかさが先行していて面白みも充実感もない業務が増えているのも事実。

サラリーマンの就職後3年以内の早期退職率は超大手も中小企業もそれほど変わらないそうです。

みんなが隣の芝は青いなぁとそわそわし、生活防衛に追われ将来に不安ばかり抱えています。

新しいものに対してある局面では無条件に期待し、ある局面ではよく知らないまま批判誹謗し固く排除する。

ひたすら小さくなる村社会か、全く個性もつながりもなく漂う匿名社会しかないような世界に愕然とします。

恵まれた職業にするには

回りくどい話になりましたが

せっかくなった視能訓練士、誰もが安心してもっと楽しく輝ける恵まれた職業になって欲しいなと願っています。

もし恵まれた職業があるとすれば、

そこで働く人たちが自ら誇りを見いだし、

ポジティブに発信し、良いところを認め合い、

この職種で良かったという体験体感を掴み取るするしかないのではないでしょうか。

素人からみると、視能訓練士はいつも専門の会合があって人事交流が盛んで常に結束しているイメージもあるそうです。

ですがお一人お一人話をうかがうとそれぞれ悩みが。

スキルや知識に自信がなく誰も教えてくれない。

満足できる活躍の場がない。

やりがいを感じない。

職場の理不尽に震えている。

頑張りに見合った報酬と思っていなくて生活が良くならない。

人々の眼と生活の質に貢献する視能訓練士がこんなに悩んでいるとは…と驚いています。

公園のイメージ

Eyetemやみるみるプロジェクトで目指すのは、視能訓練士が自由に集まる”公園”のイメージ。

公園には主とか会長とかいませんよね?誰でも自由に入れて、気が合ったり興味関心を同じくする人たちがあっちで集まりこっちで集まり。中にはチャレンジしている若い人や経験豊かなベテランの人がいて、互いに敬愛をもって影響しあう。

温故知新もよし、新しく挑戦する人の応援もよし。

プラスのマインドを得られる機会が作れるなら何でもいいですね。

今のところただのホームページですが、今後徐々にいろいろな方をお招きして自由に発信できる場にしたいと思っています。

もし、発信や交流で誰か一人でもポジティブなマインドになってくれたら。

きっと視能訓練士と眼科医療をもっと輝きもっと楽しいものに進化させてくださるだろうと信じています。

この公園で、わたし自身もたくさんの出会いにワクワクしています。


PROFILE 鈴木 達朗

一般社団法人みるみるプロジェクト代表理事

千葉県船橋市出身。建築塗装機器メーカー,フリーター生活を経て眼科医療機器卸会社勤務。眼科医/視能訓練士など眼科医療現場の素晴らしさを学ぶと共にメガネ専門店の運営管理職を経験。 眼の専門家たちへのリスペクトを原点として、眼科と眼鏡店の連携、世代間のマインド継承、若手活躍の支援 など眼に関わる縦横の連携支援に取り組む。

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