みなさまこんにちは、視能訓練士の平良です。
視能訓練士や眼科スタッフさんに発信する情報サイトEyetemを立ち上げました。
まだまだ内容はこれからですが、みるみるプロジェクトでやりたいコトの一つが専門情報サイト設立でした。
一人職場の苦しみ
私は新卒後、市立病院に入職したのですが視能訓練士はわたし一人(いわゆる一人職場)でした。
それまでその病院では視能訓練士が不在で、わたしが第一号の雇用だったようです。
当時、視能訓練士は市立病院内でも
全く知られていない職種でした。
期待されるお言葉もいただきましたが、逆に院内で理解されず
何ができるの?
眼の専門なんだから何でもできるんでしょ
といった他科職員からキツい言葉を投げかけられることも多々ありました。
お恥ずかしながら、基本である視力検査すらおぼつかない状態で、随分と検査に時間をかけてしまったりしました。
眼鏡処方などは本当にどうして良いかわからなくて、老眼鏡合わせは加入+3.00をズドンと入れるばかり。
白内障ボリュームサージャンの眼科部長先生がとても良くしてくださったのですが期待に応えられる検査は何一つできず、その場で教えてくれる視能訓練士がいないことがどれだけ辛いかを感じた毎日でした。
勤務中に一人でどうにもならなくて、成績の良かった同級生の勤務先に電話してどう対応したらよいか聞いたことも一度や二度ではありません。携帯もLINEもない時代。暗室で一人で泣いた記憶も。
それを徐々に克服できたのは自分の努力…と言いたいところですが(思いたいが)人との出会いと助けてくれた存在の数々が大きかったと思います。
師事した眼科部長先生は
「とにかく学会や勉強会には欠かさず行け」
と押してくださり大きな学会から地域の勉強会まで多く参加できました。また、
「この病院だけじゃダメ。クリニックに行ったり大学で経験したりしなさい」
と週1回ほかの職場を経験させてくださいました。
市立病院ではほとんど取り扱いのないCLを覚えられたのもクリニック勤務が出来たからです。
行った先でも随分と可愛がっていただきました。
病院内では受付や看護師のお手伝いを率先してやるようにしていました。
眼科と医療そのものに慣れたりやれることを少しでも増やせば何か見えてくるかも…と必死だった記憶しかありません。
眼鏡処方では、当時病院に出入りされていた地元眼鏡店の方が師匠でした。
処方テクニックやレンズ知識のほか、患者様との話し方/接し方、感謝の心を教わりました。
みるみるセミナーでも「ふだん聞ける人がいなくて…」というご質問が多いのですが、そのお気持ち本当によくわかります。
みるみるでやりたい
一人職場で苦しんだ視能訓練士の一人として、みなさん卒後もっとスムーズに誰かに聞ける/頼れる/学べる機会があったら良いのになと思っていました。
聞けば、卒後数か月で視能訓練士そのものを辞めてしまう方も少なくないそうです。30歳手前にして他職種に転身する方も。
この環境、なにか改善できないかな…と考え始めて15年以上経っていました。
もう一つ、いつの間にかベテランの末席に至る年齢になってしまいましたが、いくらベテランの方でも多様化する眼科医療のすべてに精通している視能訓練士は存在しないだろうと思います。
ICLや多焦点IOLなど屈折矯正手術など拝見していると若手世代がどんどん腕を磨かれていますよね。
上も下もなく率直に認めあい、学びあいたいと思います。
みるみるプロジェクトの構想は2017年頃に持ち上がりました。
当初から「いずれ視能訓練士の研修/派遣/紹介事業をやりたい」と希望してきました。
意外にもこれに強く賛同してくれたのは鯖江の眼鏡メーカー社長の梅田さんと眼科業者の鈴木さん(現代表)。
外の業界から見た方がスパっと分かりやすかったのかもしれません。
異業種連携こそ新しいものが生み出せると確信しているのはこれが原点です。
誰もが集まれる場に
Eyetemはまだ立ち上げたばかりですが、今後は年齢経験に関わらず、
業界も超えた方々をお招きした情報サイトにしていきたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
平良美津子PROFILE
北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、一般社団法人みるみるプロジェクトを有志らと共に設立。検査/訓練に立ち会った患児はのべ7万以上。現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動に積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
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