ロービジョンケア中間型アウトリーチとは 本田孝文さん

今回はこれからの弊社のロービジョンケアに対する取り組みについて書いております。

早い時期に…

ロービジョンケアに携わり約20年、これまでたくさんの視覚障害者の方と出会ってきた中で何度か聞かされた言葉があります。

この言葉からわかるのは、

患者様が少しでも早い時期に支援の情報を得ることができれば（＝ロービジョンケアを受けられれば）、

社会的不利に陥るのを防げたのではないか、ということ。

当社に拡大読書器など機器の相談に来られる方の多くは、ある程度障害受容ができて前向きに生活を改善したいとお考えの方が多いのですが、利用する・しないは本人の判断としても情報そのものはもっと早く入手できたらよかったのではないだろうか？とよく考えます。

そのために、私が今一番重点的に取り組んでいるのが、

「中間型アウトリーチ支援の普及」

です。

中間型アウトリーチ支援

眼科医・視能訓練士の先生方から

「ロービジョンケアをやりたいが人手や時間が足りない、また自院内に機材がなくてできない」

という声を聞くことがよくあります。

また患者様側からしても、先生に紹介されたロービジョンケアに興味はあるが、

初めての眼鏡店や訓練施設は敷居が高く行きづらい。また単に遠い、運転できないから交通手段がなくて行けない

という事情もあるようです。

専門職が直接利用者の自宅へ訪問するタイプの支援（アウトリーチ型）もありますが、これはこれで

特に女性は知らない人を自宅へ入れたくない、買いたくない時に断りづらいし押し売りされないか不安

と患者様から見たいくつかの不安があるようです。

そこで、

患者様が通いなれた病院（眼科）へわれわれ専門職や販売店が訪問し、眼科内で直接患者様と対面し支援機器の説明・体験や制度の説明を行い、ロービジョンケアのお手伝いをさせていただくことで眼科側・患者様双方の問題点や不安点を補う。

これが「中間型アウトリーチでのロービジョンケア」で、

日本ロービジョン学会などでも視覚障害当事者とリハビリテーションを結びつけるのに効果的である、との報告がなされています。

最初に繋がる一言

近年、国立障害者リハビリテーションセンターの医師研修会を受講し、ロービジョン検査判断料を算定できる先生方はかなり増えているそうです。

また、その医師研の指導医も務める国リハ病院眼科の清水朋美先生が提唱するクイックロービジョンケア（日本眼科医会発行の「クイックロービジョンケアハンドブック」ご参照ください）の普及、

そしてその中にも出てくる各県眼科医会のスマートサイトの拡がりなど、

医療分野ではロービジョンケアに対する取り組みは確実に向上しています。

そのような、他の専門職も含めたロービジョンケアの輪の中へ、まず最初に患者さんを繋げていただけるのは、

患者さんの一番身近にいる眼科医・視能訓練士の先生方の一言

ではないでしょうか。

そしてその時に患者様が興味を持ち、前向きになってもらうためのお手伝いを我々眼鏡店にさせてもらえたら、と思っています。

これまでのロービジョンケアは、主に一部の熱心な先生方が専門的に取り組んでこられました。もちろんこれは素晴らしいことで、今後もそのような先鋭的・専門的な研究や取り組みは絶対に必要なことです。

ただ、これからはそれと並行して、ロービジョンケアの裾野が拡がり全国どこの眼科でも行われるようになれば、とも思います。

そのための手段の一つとして、この眼科と眼鏡店が連携した中間型アウトリーチ支援が当たり前に行われるようになることで、患者様と眼科の双方がロービジョンケアのはじめの一歩を踏み出し、またさらに他の専門職へ繋げていく事で、患者様が「見えなくてできない」絶望から

「見えなくても出来る」という希望

を持つきっかけになれば幸いです。

これからロービジョンを始めてみたい、とご検討の先生、地域は問わずぜひ一度ご相談くださいませ。

本田孝文PROFILE

🎙音声配信アプリ「stand.fm」で当記事のアフタートークしています。お時間あるときお聴き流し下さい

#119 ロービジョン、眼科にて

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