こんにちは、視能訓練士の平良です。
今回は、弱視訓練でよく使用されている「硬筆帳」訓練についてご紹介したいと思います。この訓練は、弱視・斜視のお子様の訓練に用いられるものですが、お子様に訓練するかしないか・いつするか等は受診されている眼科の指導に従ってください。
眼科に通い、治療用メガネを装用するなどしながら、おおむね5歳(幼稚園年中さん)~小学生の期間で訓練するというイメージです。
またこの訓練は、「弱視」など「眼の訓練」である事はもちろんですが、「字」の形を覚えて書く学習である事から、全てのお子様が(出来れば親子で)取り組んでみて欲しい訓練だなぁと、私は思っております。
私が小児眼科で師事した辰巳貞子先生は、特にこうしたお子様の成長全般のサポートを重視されています。幼い頃より字に親しみ、「読み書き」する習慣を楽しく身につけて欲しいという願いが込められています。
「硬筆帳」訓練は、「読み書き」のうち「書き」の方の訓練です。
◎準備するもの◎
・硬筆帳(市販の学習帳)
~小学校低学年まで=8マス、それ以上の学年は10~12マスノートが目安
・鉛筆(おすすめは柔らかい2BやB程度)
・赤鉛筆
☆アイパッチ訓練中のお子様はアイパッチ時の訓練に。それ以外のお子様は両眼を使う訓練として取り組まれると良いでしょう。
☆1日1ページを目標に取り組んで欲しいのですが、お子様の気分や調子に合わせて「今日は半分だけしようね」など、できる範囲で無理なく楽しんで行うようにお願いします。
①保護者様が鉛筆で、学ばせたい字(ひらがな・カタカナ・漢字)の見本をノートに書く
保護者様が見本を書く様子 見本を上半分に書く「半なぞり」
②お子様が赤鉛筆で、①で書いた文字をなぞる。
赤鉛筆でていねいになぞりましょう
③空白のマスに、お子様が赤鉛筆で「清書」する。
例)就学前のお子様のひらがな「全なぞり」事例
◎◎このようなノートになります◎◎
ノート全てに見本を書き、赤鉛筆でなぞるものを「全なぞり」と呼んでいます。保護者様は、なぞりがきちんと見本に沿って出来ているか、見てあげて下さいね。
例)就学前の
ひらがな「半なぞり」事例例)小学生の漢字「半なぞり」事例
ノートの上半分に見本を記載してなぞり、下半分は清書(見本なし)とするものを「半なぞり」と呼んでいます。
この下半分の「清書」は見本なしでお子様の力だけで書く文字ですので、
??マス目からはみ出していないか??
??マスの中心にバランス良く書かれているか??
??だんだんバランス良く書けるようになってきているか??
??鉛筆の持ち方や筆圧は適切か??
などを見てあげて下さい。
私はこの保護者とお子様が取り組む硬筆帳が大好きです。見本の字を保護者様が書くという事が素敵だなぁと感じています。見本活字入りノートよりも、お子様にとって遥かに温かくて大切な文字なんですよ。いつか親子でその成長を振り返る想い出のノートになってくれればと、いつも願っています。
ここでチェッ~~ク!!
読み書きするときの、合言葉は「パー2個分」、出来てるかな?
保護者様、ご家庭での声かけ、お願いしますね!!
文責:平良美津子(福岡市立こども病院眼科 視能訓練士)
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 私が辰巳貞子先生、平良美津子先生などの弱視治療現場に感動した点の一つは、「眼を治療するだけじゃない」ことです。硬筆帳訓練・レッドペンシルトレーシング…文字の読み書きに親しむ訓練を通じて、豊かな発達を促す…常に文字を通じた学びを意識しているんですよね。 […]