この記事は2022年10月公開のものをリバイバル記事として再アップしたものです
こんにちは、視能訓練士の平良です。
今日は、小学校入学を控えた就学前健診とその後についてお話しいたします。
就学前健診について
正式には「就学時健康診断」と呼ばれ、小学校入学5~6か月前に実施される健康診断を指します。学校保健安全法(第11条)に基づき各市町村教育委員会による実施が義務付けられており、学校保健安全法施行規則第3条に定められた検査項目(内科/眼科/皮膚科/耳鼻咽喉科/歯科)を行います。
毎年、10月~11月末までに行われているようですね。
視力検査がありその結果、何らかの眼の異常や疾患が疑われる場合、「眼科を受診してください」と指導されることもあります。
眼科受診は年内に!の理由
それでは、就学前健診で眼科受診を推奨されたら、いつごろ眼科受診すれば良いのでしょうか。
私は「可能な限り早く、出来れば年内(12月末まで)の受診をお勧めします」とお話ししています。
『えっ入学は4月でしょ?3月頃で良いのでは』
『入学式の前の週くらいで良いと思ってた』
とおっしゃる保護者さまも多いのですが、可能なら年内に受診を!とお勧めする理由は次の通りです。
理由① 眼科検査は1日で済むとは限らない
⇒3歳児健診と違いお子様の検査はスムーズなことが多いですがそれでも数回かかることもあります。
理由② 治療の必要な弱視が発見される可能性
⇒弱視がここで見つかり治療が必要というケースは珍しくありません。実際、眼科ではよくある発見パターンとなっています。発見されたらそこからが治療のスタート、6~8歳までといわれる両眼視機能の完成に間に合うよう早急に治療に取り組みたいところです。スタートラインが入学直前では…ご理解ください。
理由③ メガネが必要な場合、入学までに慣れておいて欲しい
⇒治療が必要な弱視ではなくても、良好な遠見視力/近見視力を得るためのメガネが必要なお子様は一定数いらっしゃいます。メガネに十分に慣れた状態で入学式を迎えて欲しいと思っています。
新一年生の教室を想像する
さて、そもそも何のために就学前健診があるのでしょうか。
これは私の解釈ですが、出来る限りベストな学習環境で入学してもらうためと考えています。
想像してみましょう。
桜が舞う春。暖かさのなかにまだ風の冷たさも感じる肌感覚。期待と緊張。
初めて背負う真新しいランドセル。初めて見る担任の先生。机に並ぶおともだち。
遠くの黒板、机の上には初めて手にする教科書/ノート。
見るもの、聴くもの、触るもの、あらゆる光景が新鮮そのもの。
なんとも晴れやかでみずみずしくて、無限の可能性に飛び込んでいく門出。
どの子にとってもかけがえのない経験となる素晴らしい学校生活となることを願わずにはいられません。
夢と希望あふれる光景、できるかぎりその子のベストな見え方で見て欲しい。
眼科受診はこの入学までの準備期間のスタート。
入学までにベストな見る環境を整えてあげたい。
視力には、遠見視力と近見視力がありどちらも良く見えているとは限らない、というお話をたびたびご紹介してきました。
- もし、黒板の字が?先生の顔が?目の前の教科書やノートが見えづらかったら?
- もし、休み時間に遊ぶおともだちの顔が?ボールが?見えづらかったら?
- もし、花壇に咲くお花が?秋に舞う銀杏の葉が?見えづらかったら?
可能な限り早く眼科受診して、必要とわかれば治療やメガネ装用を経て、ベストな状態で入学式を迎えて欲しいと思います。
皆さまはいかがでしょうか。
平良美津子PROFILE
北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー経験。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、有志らと一般社団法人設立。現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動にも積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
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