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視能訓練士から始まる地域創生

みるみるプロジェクト代表の鈴木です。現在、九州医療スポーツ専門学校「視能訓練学科設立支援委員会」の事務局長を務めています。

2023年、北九州市門司区の小児眼科医/辰巳貞子先生の提唱から、「北九州に視能訓練学科を」という活動が始まり、九州医療スポーツ専門学校において2027年春開講(設置計画中)に至っています。

これまでこのブログでは、署名活動や機器寄贈、開設に向けた進捗などをお伝えしています。

今回は、その目的とビジョンに関わるお話をお伝えできればと思います。

「結局、誰のためにやるんだろうね」

実は、地域創生という考えは後から付け加えたものではありません。

活動を始める当初から、辰巳先生とは何度もこの話をしてきました。

視能訓練士の養成校(学科)を創って欲しい。

当然、視能訓練士になりたい若い人のため。人材を求める眼科医療機関のためでもあります。

でも、それだけなのだろうか。

「結局、誰のためにやるんだろうか」

活動を始めた頃、辰巳先生とよくお話しました。

辰巳先生は満州チチハルのお生まれ。終戦時まだ2歳。国境を越えて侵攻するソ連軍が迫る混乱のなか、ご両親とともに命からがら日本へ引き揚げてこられたそうです。その後を生きてきた北九州は、先生にとって、そして出逢ってきた大切な方々がいる故郷。

長く小児眼科に取り組んで来られた先生が、その北九州に視能訓練士を育てる場所を残したいと考える。

その思いを聞くうちに、この活動は単に「学校(学科)を一つ増やす」という話ではないと、私自身も強く感じるようになりました。

人を育てる。地域で働く。地域医療を支える。

そして従来の枠を超え、積極的に地域の市民に入っていく。

私たちがつくりたいのは、そんな「繋がり」なのです。

私は北九州出身ではありません。

でも、眼科業界に入った駆け出しの頃、北九州エリアを担当していました。たくさんの眼科を訪問して、眼科医/視能訓練士/スタッフの皆さんと出会いました。眼科っておもしろい。こんなに進化する医療があるんだ。この仕事が好き。最高。そう心から思うようになった場所の一つが北九州です。

振り返れば、今のみるみるプロジェクトを始めることにつながった原点の一つも、この地域にあります。そして北九州に関わっていると、いつも感じることがあります。

地元愛最強,北九州

北九州の人は、本当に北九州が好きだなあ。私が出会ってきた方々から受けた印象です。

「福岡」ではなく「北九州」。福岡県の本家は北九州だ、と思っている人も少なくない。

自分の街への愛着が強い。地元の話になると、皆さん少し(かなり)熱くなる。

私はそれを羨ましいと率直に思います。自分たちの街が好き。自分たちの地域をもっと良くしたい。金では買えない素晴らしい地元愛。

みるみるの平良美津子視能訓練士もその一人です。平良さんは北九州で生まれ育ち、その思いを綴ったエッセイ「変わらない皿倉山と北九州のおばちゃん」は、キタキュースタイル第2回エッセイコンテスト優秀賞を受賞しました。

子どもの頃に暮らした八幡の街。商店街。近所のおいちゃん、おばちゃん。そして、いつもそこにあった皿倉山。

平良さんはエッセイの中で「私は北九州に育てられた」と書いています。


そして今度は、自分が地域の子どもたちを見守る側でありたいと。

私は、この感覚こそ 地域 かもしれないと思っています。

人が地域に育てられる。そして自分の仕事を通じて地域に何かを返していく。

視能訓練士にも、それがもっと広く力強くできるのではないでしょうか。

みるみるプロジェクトは、これまで各地の保育園/こども園で視力検査を続けてきました。もちろん、子どもの眼の異常をできるだけ早く見つけ、必要な眼科受診につなげたいという思い。

でも、続けるうちに見えてきたものがあります。

園内検査は、視能訓練士だけではできません。

我が子を想う保護者。保育士/幼稚園教諭は誰よりも園児と長い時間一緒にいる存在。その後の受診先には眼科医。行政や地域の関係者とつながることも多々あります。

繋がって初めて得る気づき。モチベーション。新たな視点。

一人の子どもの「みる」をきっかけに、いろいろな職種や立場の人たちがつながっていきます。そこで感じました。

人のつながり=地域創生

視能訓練士が眼科の検査室で専門性を発揮することは、もちろん大切。多くの眼科医療機関が視能訓練士の採用を求めており、就職先は潤沢です。

それに加え、眼科から外に出て、専門性を地域へ。できることはもっとある。

園や学校。子育て。高齢者。福祉。企業健診。健康づくり。いろいろな分野とつながる可能性があります。

園内検査を続け、他職種連携が深まるほど、

「視能訓練士×地域創生」ビジョンが、私たちの中でだんだん具体的な解像度を持ってきました。北九州に視能訓練学科ができる。若い人たちが集まり学ぶ。地域の眼科で実習する。そこで人と出会う。卒業して地域で働く。故郷に戻り働く人も大切。子どもから高齢者まで、地域で暮らす人たちの「みる」を支える。

何年か経てば、今度はその卒業生が後輩を育てる側に。学校が人を育てるだけではありません。地域みんなで人を育てる。そして、育った人が地域を支える。そんな学科になってほしいと私たちは願っています。

地域とは、狭く、そして広大

この取り組みは、北九州市だけで終わるものではありません。

北九州は九州の玄関口。海を渡れば広大な山口県、北部九州と中国地方をつなぐ結節点。

関門海峡は古代から交通の要衝として歴史に名を刻んできました。

周辺自治体まで含む北九州山口エリアとも呼ばれ、北部九州とも呼ばれる地域。

そして北九州を起点に、北部九州から中国地方へ。

そして将来的には、四国も含めたもっと広い地域へ。

国内留学。実習。就職。教育。人材交流。外に出る活動。

一つの学科をきっかけに、いろいろなつながりを生み出せる可能性があります。

養成校をつくる。誰のために?

行きつくところは、この地域創生でした。

一つの視能訓練学科だけで、地域創生ができるなどとは思っていません。

でも、その一つのきっかけにはなれると思っています。

2023年から始まった活動。そこに多くの眼科医、視能訓練士/医療/学校/企業/地域の皆さんが関わってくださるようになりました。これからは、学生たちも加わります。

その輪が少しずつ広がっていく。

視能訓練士から始まる地域創生。北九州から、そんな新しいワクワクを。

みるみるプロジェクト代表理事/視能訓練学科設立支援委員会事務局長 鈴木達朗

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