こんにちは、視能訓練士の平良です。
今日は、小学校入学(就学前)までに子どもたちに準備してあげたい眼のコトについてお話したいと思います。
【両眼視機能】と学習機会
子どもたちが心豊かに成長する一つとして「読み書き」が重視されることはこのコラムでもたびたびお話ししてきたと思います。
この「読み書き」はやはり小学校から本格的に始まりますよね。学年が上がれば教材の文字は増え小さく行間も狭くなります。
この「読み書き」において見えにくさがあれば、学習環境に差がついてしまいかねません。同じ教室/同じ教材で学習しているのに、見えにくさによって学びに差がついてしまうことはとても残念な事だと思います。
そのため理想としては、小学校就学前までに両眼視機能をしっかり発達させてあげたいというのが師匠辰巳貞子先生やわたしの考えです。
もちろん、お子様の状況によって違いがあるのであくまで理想ですが。
両眼視機能=両眼を同時に使えているかどうか、ですね。
両眼視機能は成長と共に獲得されていくものですが、この機能が弱いのは弱視斜視の子どもだけではありません。両眼ともに良好な視力がありながらも、この両眼を同時に使うということが苦手な子どもも存在します。
そこでわたしはどの子どもにも(特に就学前は)両眼視機能の検査は必ずするようにしています。
バーリーダー(棒読書器)
そのチェックの一つに「棒読書器(バーリーダー)」があります。
横読みの文章を眼前にある3本の縦棒を通して音読してもらう検査です。
ここでは頭を固定して文字の大きさごとに読めるかどうかを確認します。
そこで文字の大きさごとの音読が出来れば両眼視は良好といえます。
棒が邪魔でいくつかの文字をとばしたり、行をとばしたり、読み詰まるようであれば、両眼視機能が弱い・両眼をうまく使えていない(片眼ずつで見ている)ということになります。
また家庭訓練を頑張っているお子さんの訓練経過の目安にもなります。
そこで「棒読書器」を使った結果で就学に向けて、また楽しい学校生活を送るために眼科でのアドバイスを紹介したいと思います。
なぞり読み
各行の同じ個所を読みとばす・行を読みとばすというようなことがあれば、【なぞり読み】を習慣づけるようにアドバイスしています。家庭だけでなく学校や習い事などでも日常的に行うようにお伝えしています。
文字通り、指で文字行をなぞりながら読む、という練習です。
なぞり読みは、これをして両眼視機能が顕著に上がるわけではありません。(治療としてアドバイスしているわけではない)
ご本人が気づかないうちに読み飛ばしてしまうことを自覚し、丁寧になぞり読みする事で注意を促すことに繋がります。
たとえば、算数の複雑な計算において、計算出来なかったのではなく読み飛ばしが原因だった事例も珍しくありません。なぞり読みの大切さがご理解いただけると思います。
眼だけでなくて
師匠辰巳貞子先生の医療現場で学んだことは、「眼や視機能だけでなくその子の学習環境を整えてあげる大切さ」です。
入学式が待ち遠しいですね。
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平良美津子PROFILE
北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー経験。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)にも積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
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