みるみる手帳 贈りもの編‐弱視とメガネとアイパッチの先にあるもの
こんにちは、視能訓練士の平良です。
みるみる手帳は弱視斜視治療とともに歩む手帳。
訓練卒業までの数年間、患児に関わる人々が書いていきます。
なぜ手書きのアナログなのか?なんのために“書く”のか?
今回は、将来その子に伝わってほしいコト という着眼点でお話しさせてください。
みるみるネットや手帳では、パパママという表現はほとんどしていません。
硬い表現のようですが、保護者という呼び方で統一しています。
それには理由があります。
↓ ↓ ↓
弱視治療はほとんどの場合,数年以上の期間が必要です。
眼科受診には毎回 大人がお子様(患児)に連れ添うのですが
パパママ(両親)とは限りません。仕事や家庭事情も多様です。
おじい様おばあ様(祖父母)が毎回連れ添う事例が増えました。
叔父/叔母その他親族がこれを担うケースも多いです。
乳児院のシスター,養護施設の先生が
保護者として連れ添うことも珍しくなく
しっかり手を繋いで来てくれます。
皆さん,ドクターの説明をよく聞き,
検査中の患児を傍らから愛情深く見守っていらっしゃいます。
私たちがパパママという限定的なワードを使わず、“保護者”とお呼びしている理由はそこにあります。
もうひとつ,これらさまざまな人が,交代で連れ添うケースもあります。
それぞれ事情がありつつ,協力しあって育む様子がわかります。
眼を育てる訓練の主な舞台は家庭にあります。
そのため眼科指示や注意事項などを,その場にいなかった保護者が後に読んで共有できるよう,手帳にはわかりやすくこまめに書くようにしています。
さて訓練はいつか終了(卒業とも)します。
手帳は卒業後も,
できたら保護者の手元に保管しておいてください。
将来 その子が成人したとき/自立したとき/子どもを持ったとき…
自由なタイミングで,
たくさん書き込まれたこの手帳をお渡しください。
心豊かに成長した大切な日々に。
自分がいかに多くの大人に見守られたか。
健やかな成長を願う人々が関わっていたこと。
決して一人で育ったわけではなくて。
一期一会のなかで愛情の眼差しを向けた人。
手を繋いで連れ添った人。
自分はたしかに、誰かに愛されてきた。
きっと気づいてくれるのではないかと、
わたしは信じています。
あのメガネ屋さんがいつもやってくれたよね。
この字はおじいちゃんかな。
あの眼科ではいつも待たされたよね。
こんな名前の人が検査してくれたんだね。
最初は泣いて検査にならなかったんだよね。
〇年も通ったんだね。
だから、みるみる手帳はアプリ化しないんです。
豊かに成長したあなたへの贈りもの。
-Beloved Memories-
平良美津子PROFILE
北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、一般社団法人みるみるプロジェクトを有志らと共に設立。検査/訓練に立ち会った患児はのべ7万以上。現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動に積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
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