これから弱視や斜視の治療訓練に取り組む保護者様に、メガネのプロの技術が重要な理由についてお話ししたいと思います。前回お伝えしたお話しの続き、その2です。
治療用眼鏡を担当するメガネ店プロの高い技術力は、良好な治療訓練を行っていくうえで絶対に欠かせないものです。
言い換えますと、治療訓練の成果を左右する要素のひとつが、メガネ店プロの技術なのです。
これは理念や理想ではなく、私の経験からも強くお伝えしています。
なおメガネ店の高い技術は数日数週間で高レベルになれるものではなく、長年の実践と創意工夫で習得されるものではと感じています。
お店/企業というチームとして技術を大切に考えているか。メガネ専門店さんの理念があらわれますね。
眼鏡はフレームとレンズから構成されていますが、あくまでレンズを正しく装用するためにフレームが存在します。
レンズには「光学中心」があり、この光学中心に眼の中心(瞳孔中心)が位置することが【正しい装用】です。
眼科で行う眼鏡処方はこの光学中心で見ることが前提であり位置が大きくズレてはいけません。
”眼鏡レンズのどこで見ても良い”というわけにはいかないのです。
けっこう誤解されていることですのでご注意くださいね。
眼鏡の正しい装用には、
フレームをお顔の形状にしっかりとフィットさせる
【フィッティング技術】が必要です。
眼科で検査や訓練を担当する側としては、
治療用眼鏡を日々正しく装用してくれているか
とても気がかりです。
眼とレンズの正しい位置関係は、主にこの3つです。
①光学中心に眼の中心がある
→お顔の正面からみて大きくズレているのはNG。
特にこどもめがねでもっとまずいのは
「枠の外で見ている」こと。
レンズを通して見ていないのですから、これではそもそも治療にはなりませんね。。
この“鼻眼鏡”状態のまま過ごしている事例も実際ありますから注意が必要ですね。
レンズを通して見ている場合でも
光学中心ではない部分で見ると「プリズム」という光を他の方向に曲げてしまう作用が働きます。
メガネ処方で想定していない見え方
つまり処方とは違うメガネをかけている事になる、
と言っても過言ではありません。
②レンズと眼の適正な距離
レンズが眼から離れすぎると、
レンズ度数は違うものになってしまいます。
意外かもしれませんが、
眼との距離を適正に保たないと
処方した度数が再現できない
と覚えていただければと思います。
③レンズは少し前に傾いている
これもけっこう意外かもしれませんが、眼鏡のレンズ面はお顔に対して並行ではなくちょっと傾いています。(前傾角というそうです)
これは人の日常生活における視線は水平ではなく少し下を見ていることに由来しているそうです。
治療中のお子様は眼鏡を通して日々いろいろなものを見て発達していくのですから。。
購入したときは良かったけれど数日後にはズレたままずっと過ごしている…ということでは困ります。
お話ししてきたように、
メガネは本来レンズを正しく装用するために
フレームが存在すると言えるのではないでしょうか。
ときどきいらっしゃる事例として、
軽さを追求した樹脂製フレームを選んだのだけれど度数が強いためにレンズが重く、
どうしても前にズレてしまうというケースがあります。
メガネ店でメガネを選ぶ際には
ファッション性だけで判断せず
処方箋度数のレンズの重みまで考えて
完成するメガネのフィッティングまで考慮した
アドバイスをしてくれるお店で
選んで欲しいなぁと思っています。
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