注/本記事は2022年のリバイバル記事です
これから弱視斜視の治療訓練に取り組む保護者様に、メガネ店技術が重要な理由についてお話しします。前回お伝えしたお話しの続きその2です。
メガネ店の技術は欠かせない
治療用眼鏡を担当するメガネ店の高い技術力は、良好な治療訓練を行っていくうえで絶対に欠かせないものです。
言い換えますと、治療訓練の成果を左右する要素のひとつが、メガネ店プロの技術。
これは理念や理想ではなく、私の経験からも強くお伝えしています。
なおメガネ店の高い技術は数日数週間で高レベルになれるものではなく、長年の実践と創意工夫で習得されるものと感じています。お店/企業というチームとして技術を大切に考えているか。眼鏡専門店さんの理念があらわれますね。
「レンズの位置」を適正保持する(フレームの役割)
眼鏡はフレームとレンズから構成されますが、あくまでレンズを正しく装用するためにフレームが存在します。
レンズには「光学中心」がありここに眼の中心(瞳孔中心)が位置することが【正しい装用】です。
眼科で行う眼鏡処方はこの光学中心で見ることが前提。位置が大きくズレてはいけません。
”眼鏡レンズのどこで見ても良い”というわけにはいかないのです。
けっこう誤解されていることですのでご注意くださいね。
正しい装用には、フレームをお顔の形状にしっかりフィットさせる【フィッティング技術】が必要です。
眼科で検査訓練を担当する側として、治療用眼鏡を日々正しく装用してくれているかとても気がかりです。
眼とレンズの正しい位置関係は、主に下記3つです。
①光学中心に眼の中心がある
お顔正面からみて大きくズレているのはNG。特に最もまずいのは「枠の外で見ている」こと。
レンズを通して見ていないのですから、そもそも治療にはなりませんね。。
この“鼻眼鏡”状態のまま過ごしている事例も実際ありますから注意が必要です。
レンズを通して見ている場合でも光学中心ではない部分で見ると「プリズム」という光を他の方向に曲げてしまう作用が働きます。
メガネ処方で想定していない見え方つまり処方と違うメガネをかけている事になると言っても過言ではありません。
②レンズと眼の適正な距離
レンズが眼から離れすぎると、レンズ度数は違うものになってしまいます。
眼との距離を適正に保たないと処方した度数が再現できないと覚えていただければと思います。
③レンズは少し前に傾いている
これもけっこう意外かもしれませんが、眼鏡のレンズ面はお顔に対して並行ではなくちょっと傾いています。(前傾角というそうです)これは人の日常生活における視線は水平ではなく少し下を見ていることに由来しているそうです。
▷外来でみる良くない事例
- 眼に対して水平でない
- 眼とレンズの距離が離れすぎ前にズレ出ている
- 下にズレ落ちていてレンズ光学中心で見ていない
治療中のお子様は眼鏡を通して日々いろいろなものを見て発達していくのですから。。
購入したときは良かったけれど数日後にはズレたままずっと過ごしている…ということでは困ります。
▷メガネの選び方、参考までに
お話ししてきたように、メガネは本来レンズを正しく装用するためにフレームが存在すると言えるのではないでしょうか。
ときどきいらっしゃる事例として、軽さを追求した樹脂製フレームを選んだのだけれど度数が強いためにレンズが重く、どうしても前にズレてしまうというケースがあります。
ファッション性だけで判断せず処方箋度数のレンズの重みまで考えて完成するメガネのフィッティングまで考慮したアドバイスをしてくれるお店で選んで欲しいなぁと思っています。
平良美津子PROFILE
北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー経験。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、有志らと一般社団法人設立。現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動にも積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
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