こんにちは、視能訓練士の平良です。
みるみるプロジェクトは保育園の先生方を対象に
子どもの眼の発達講演と“見えにくさ”体験会を開催しています。
先日は堅粕保育園(福岡市博多区)で行いました。
子どもは見えにくさを訴えない
子どもの眼は生まれたとき未完成の状態。みる力(視力、両眼視機能)は何年もかけて発達成長していき、6~8歳ぐらいまでに完成(精密な両眼視機能の獲得)するといわれています。
この発達途上において、みる力が順調に育っているかな?見えにくさはないかな?と把握することは極めて重要です。みる力の発達が何らかの原因で阻害されている状態が「弱視」であり、もれなく全ての弱視が早期発見される社会づくりが求められます。
子どもは自分の見えかたが良好なのかわかりません。弱視や、弱視でなくとも近視など(何らかの屈折異常)によって見えにくさがあったとしても、自分自身ではわからないのです。
園の先生方のチカラを
子どもの見えにくさは最終的には眼科の精密検査が必要ですが、全ての子どもが毎年もれなく眼科受診する…というのは現実的に困難です。周りの大人が見えにくさに気づいてあげて、眼科受診を促してくださることがとても重要です。
周りの大人…保護者はもちろんですが、私たちは保育園/幼稚園など子どもに関わる職種の方々のご理解ご協力が大きいと考えています。日によっては保護者よりも長く一緒にいることもある存在であり、子どもの成長や教育のプロ(専門職)。
園の先生方が「もしかしたら見えにくいかな?」という観点でも子どもたちの日常を観察してくださったら、どれほど力強いことでしょう。
そういうわけで、全国各地で同様の活動をされている視能訓練士さんらにも背中を押していただき、私たちも取り組んでいます。
堅粕保育園(福岡市)
堅粕保育園(社会福祉法人仁徳会/福岡市博多区)は子どもたちの食育などにも熱心に取り組んでいらっしゃる園。星の原団地保育園で行った視力スクリーニング検査を聞いて「ぜひ当園でも」とご連絡いただきました。上里園長、上里主任など皆さんと少しお話ししただけで、いかに子どもたちの成長と未来に想いと知識が深いかすぐわかりました。
保育士の皆さんに、眼の発達や視機能についてミニ講演のあと、体験会を行いました。
“見えにくさ”が具体的にどのような影響があるのか?
ボールはキャッチできる?
読み書きはスムーズにできる?
両眼同時に見るってどういうこと?
など、なかなか言葉や文章では伝わりにくい部分を体験していただきました。
子どもたちの日常の様子から気づく見えにくさのサインについても事例を挙げながらお伝え。
さすが保育現場のプロだなぁとリスペクトする時間でもありました。
「これは子どもの心身の成長に影響が大きい!」と重要性にすぐに気づいてくださり、見えにくさがないか日常からもっと注意して保育にあたりたいと心強いお言葉をいただきました。
✓ 子どもは見えにくさを訴えない
✓ 周りの大人が気づいてあげて欲しい
✓ 園の先生方の理解と協力はとても重要
堅粕保育園の皆さん、ご紹介いただいた星の原団地保育園野見山園長先生、ありがとうございました。
園長先生や上里主任とのお話で、視能訓練士としてたくさんの気づきや今後の課題も見つかりました。これは後日対談形式でお届けしたいと思います。
平良美津子PROFILE
北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー経験。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、有志らと一般社団法人設立。現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動にも積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。
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