
みるみるプロジェクト代表の鈴木です。当記事は2021年6月にアップされたものですがPV数が多いため、加筆修正してリニューアル記事としました。
- 子ども達は自分の「見えにくさ」に気づきにくい
- 身体的能力の発揮には まず適正な視力矯正が大切
- あらゆる子どもに笑顔で活躍できる機会を
- スポーツ指導者は「見えにくさ」がないか気にしてあげて欲しい
“見えにくい”ことに気づかない経験談
当プロジェクトは弱視斜視の治療に取り組むお子様と保護者様を応援する連携プロジェクトです。まずは子どもの”見えにくい”という事に周りの大人が気づいてあげる/その重要性を知る事がとても大切ですね。
今回は「見えにくいことにあまり自覚がなかった中学生との経験談」です。

わたしの子どもは中学校でバレーボール部でした。体育館スポーツは私の人生でほとんど経験がない(体育の授業ぐらい)だったのですが、保護者として見ていてとても新鮮でした。
バレーボールは練習試合でも公式大会でも一度にたくさんのチームが集まります。とても礼儀正しい風習?というか、挨拶や返事がハキハキしていて素晴らしいと思いました。
顧問の先生がとても良い話をしてくれました。「高校以上の部活になるとバレーボールなら高身長選手がズラッと並ぶなど選別が出てきてしまう。だが中学校部活は背が高い低い体格が大きい小さい、そういう個性や個人差がハンデにならず頑張ればどの子にも活躍する機会がある。」なるほど…と感心したものです。
“わたし、運動神経が…”という生徒
同じチームに、とても礼儀正しく優しい生徒がいました。私の子どもとも気が合っていつも仲良くしてくれていました。(仮にK子さんとします)

…ただ、残念ながらどういうわけかこのK子さん、向かってくるボールに対してレシーブする反応がどうしても遅い。中学校で初めてバレーボールを始める生徒が多いなか、慣れるまで仕方ないコトと見守っていたのですが、どうも見ていて気付いたことが…。
本人はとても気の優しい生徒さん。
「わたし運動神経がないので…」と控えめに言うのですが
どうも、ひょっとして…

ボールが見えにくいのでは??
と思ったのです。




前回のブログで書いた通り、ボールが見えにくい事に気づかない経験はわたしも過去にありました。
本人のプレーを見ていると、やはり反応が遅いというか、ボールを見極めるタイミングが遅いようでした。そこで顧問の先生ともお話しして、眼科に行って受診してみてはどうですかとお勧めしてみました。
生徒本人とその親御さんにとって、どうもピンと来ない話だったらしく数か月受診しないままだったのですが、いよいよ眼科受診してくれて「近視」と診断,メガネとコンタクトレンズを処方されて帰ってきました。
見違えるような活躍
さてその後。嘘のような本当の話。
コンタクトレンズを装用したK子さん、素晴らしくメキメキと上手になっていきました。


まず見ていて、ボールに対する反応が早い。周りと比べて遅いという感じは全くなく、きちんとボールの着地点でレシーブするようになりました。その上達ぶりは「急に」という感じです。
これには正直、眼科受診や視力矯正をお勧めした私も驚きました。
ボールがよく見えるという事はこういうことかと。
これまで自分は運動神経が…センスが…と言っていた生徒がこんなに活き活きと活躍するなんて、どれだけ素晴らしいことでしょう。もともと気が優しくてマイペース気味な生徒さんでしたが、そんななかでも凛々しくカッコよかったです。努力が上達に直結している自信のようなものを感じました。
スポーツビジョンは「眼の保護」と「視力矯正」から
スポーツビジョンをご存じでしょうか。スポーツをするうえで重要と言われ「動体視力」などが有名です。多くの研究者が永らく研究に取り組んでいます。
ただ皆さんに広く知っていただきたいのですがスポーツビジョンの基本はまず「眼の保護」と「視力矯正」です。
スポーツで眼に外傷を負ったりすることはあってはなりませんし、屋外スポーツで強い紫外線を浴び続ける事の危険性を指摘する先生もおられます。(=眼の保護)
「視力矯正」は現在の裸眼視力がそのスポーツを行ううえで適正なものであるのかとしっかりと検査し、不足があればメガネやコンタクトレンズなどで矯正することです。
今回の経験談のK子さんのプレーを見ていて、身体的能力を十分に発揮するには視力矯正がとても大切なのだと実感しました。


スポーツ指導者の方々へ
スポーツ指導者は懸命に指導するあまり、「なんでそんな遅いんだ!」「しっかりやれ!」「ちゃんとボールを見ろ!」と怒鳴ってしまったりしがちです。
しかしその前に。その選手の視力、適正な矯正がされていますか?
もし選手の能力をしっかり発揮させたいなら、まず一度きちんと検査してみる。チェックしてみること、大切ではないでしょうか。
- 子ども達は自分の「見えかた」の良し悪しに気づきにくい
- 身体的能力の発揮にはまず適正な視力矯正が大切
- あらゆる子どもに笑顔で活躍できる機会を
みるみるプロジェクトは、斜視弱視に限定することなく、子どもの「見えにくさ」に周りの大人が気づいてあげる・気づきやすい社会づくりを目指しています。この動機のささやかな一つに、わたしの実体験も数%入っています。


鈴木達朗PROFILE
千葉県船橋市出身/東海大学文学部卒。千葉県で当時珍しかったダイエーホークスファン。城島健司選手と同年生まれが誇り。新卒採用された建築塗装機器メーカーで1週間入社研修合宿⇒最終日に「明日福岡に着任しろ」という無茶辞令を経験。以来福岡県に在住。1年間のフリーター経験を経て眼科医療機器卸会社勤務。眼科医/視能訓練士など眼科医療現場の素晴らしさに触れると共にメガネ専門店の運営管理を経験。2020年6月より一般社団法人みるみるプロジェクト代表理事/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム事務局長/同会個人参画会員。
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コメント
コメント一覧 (4件)
はじめまして!
長野在住の3児の母です。長女の視力の事で相談させてほしいのですが…。
はじめまして、コメントありがとうございます。代表の鈴木です。コラムお読みいただきありがとうございます。
私どもは個別の医療相談に応じることは無責任になりますのでできませんが、お嬢様の視力に関するお悩みがあるのですね。よろしければメールをいただければ幸いです。
info@mirumirunet.com
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