一般社団法人みるみるプロジェクト 代表理事 鈴木達朗
-ご挨拶-
一般社団法人みるみるプロジェクト代表理事の鈴木と申します。
わざわざご覧頂き、ありがとうございます。
このみるみるプロジェクトは、みるみる手帳の企画制作から始まった弱視斜視治療の連携支援プロジェクトです。
みるみる手帳は、2019年3月より眼科医療ディーラー・メガネフレームメーカーなど有志企業の経費負担によるボランティア活動として制作・供給を開始致しました。その後、WEBサイトの開設やセミナー開催などを経て、眼科・メガネ店・企業様などからプロジェクト趣旨に賛同するお声を多く頂くようになりました。
そこで、弱視斜視の早期発見・早期治療と連携支援という社会的貢献に鑑み、2020年8月より一般社団法人みるみるプロジェクトが活動を継承運営する事となりました。
今後は、特定企業の事情にとらわれず、皆様のお力添えを賜りながら活動を継続・発展させてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様のご賛同に深く感謝致しますと共にあらためて、みるみる手帳制作の経緯や、このプロジェクトへの考え方・想いなどについてお伝えしたく存じます。長く拙文ながらお時間があれば下記お付き合い下さいましたら幸いです。
“みるみる手帳”は無償を続けます
2020年9月時点で、“みるみる手帳”は発表から1年半が経過、手帳をご活用頂いている眼科医療機関は280件を超えました。
眼科関係者の皆様の中には、「なぜこのような手帳を業者が?」「なぜ無料?」と最初に思われた方も多いと思います。眼科に何か売り込みに行ったり、いずれ有料にしようとしたりしていませんのでご安心ください(笑)
このみるみる手帳は、ご賛同頂いた眼科医療機関に当プロジェクトが無償提供し、そのご判断により保護者様に対して交付される弱視斜視治療の管理手帳です。 ※当プロジェクトから直接一般にお渡しする事はありません
手帳構想の中で、これを一冊いくらで販売しようかという計算をしたこともありましたが、これからお話しする私たちの目的目標を考えた結果、無償にしてより多くの方々に使って頂く事がベストと判断しました。プロジェクトの運営経費は、賛同するメガネ専門店様・メーカー様などからの加盟金・広告料などでまかなわれますので、当初からのルール通り、無償提供を続けてまいります。
今後も改良改訂を続けながら、無償供給を続けていきたいと存じます。
-みるみるプロジェクト構想までのこと-
“眼科”と“メガネ専門店”の狭間で
プロジェクトに至った原点は、前職(眼科医療機器ディーラー)での体験です。前職では、九州福岡を中心に多くの眼科医療機関をお得意様として眼科医療機器やコンタクトレンズを販売しておりました。そしてもう一つ、メガネ専門店の運営も行っておりました。世間一般のイメージがどうかはわかりませんが、ご周知のとおり“眼科”と“メガネ店”は同じく「見ること」をテーマにしながら、仲が良いような縁遠いような、意外と個別に存在しています。どちらの立場も存じ上げ、またどちらも私にとって大切で愛する存在…何かもっと共に人々のために連携して取り組むべきものがあるのではないかと、おおざっぱな言い方ですが考えておりました。
①-眼科医へのリスペクト-治療現場の感動体験
全国で眼科医の先生方・視能訓練士の方々が活躍のなか、このみるみる手帳を監修下さった大里眼科クリニック(福岡県北九州市)の辰巳貞子先生との出会いとそのお姿にたいへん感銘を受けました。多くのお得意先様(眼科診療所)において白内障手術をはじめ高齢者疾患が多数を占めるなか、辰巳先生のご診療は検査も装備も特殊。朝は大勢の親子が並び、夜も遅くまで多くの患者様親子が院内にいらっしゃる。当然併設メガネ店であるメルック(前職で運営のこどもめがね専門店)の営業も遅くまで続いておりました。
ある夏の日の事。眼科(注:移転前の旧建物)の前の歩道に花壇があり、4~5歳の女児とお母様がお弁当を食べながら診察待ちをしておられました。その日は特に暑くおそらく37°前後を記録した信じられないほどの猛暑日でした。この炎天下直射日光のもと、親子でお弁当を食べている。つい反射的に「たいへんじゃないですか?暑いでしょう?」とお母様にお声掛けしたのですが、親子で笑顔を見合わせながら「いえ、親子で幸せです」と屈託のない答えが返ってきました。
あまりに衝撃的でした。え?幸せ??長い時間炎天下で待っている親子から、「幸せです」という言葉を頂いて、目が点になるような思いがしました。その親子の後ろ姿が忘れられませんでした。その子にとってはお母様との大切な思い出になるのかもしれない。振り返って親の愛を感じる貴重な時間になって行くのかもしれない。ひょっとすると凄い時間を目撃しているのではないか。これは、ただの疾患治療ではないのではないか?この診療に日々身を投じておられる辰巳先生に、何か雷に打たれたようなリスペクトを感じました。
私は当時駆け出しの営業マンでした。生意気ながら少しだけ眼科器械やCLが分かりかけて来た「つもり」でいた頃でしたが、この時の衝撃が、何か眼科医療の素晴らしさ・夢をあらためて感じるきっかけとなりました。自分がお給料を頂いている業界は、今まで感じていた以上にとんでもなく凄い世界なのではないか。私個人の原点となる風景でした。今考えればただの未熟な営業マンでお恥ずかしい限りなのですが(笑)
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尊敬する辰巳貞子先生
“子どもの診療には夢がある”
小児眼科医 辰巳貞子先生
それ以来、辰巳先生には検査や治療に関して様々な事を惜しげもなくご教示頂きました。先生のインタビュー記事にもありますが ”子どもの診療には夢がある” この辰巳先生のお言葉があの時の風景にいつもオーバーラップします。
夢がある、って、なんて素晴らしいお言葉でしょうか。先生の万感の想いが込められている。そのように感じております。いつか、先生のこの想いと取り組みを、何かの形にして社会貢献的な事がしたい。私ごときがおこがましい事は承知の上ですが、そのように考えておりました。
手帳制作
大里眼科クリニック様では独自の視力グラフなどを作って保護者様にお渡しされていました。他のページも作れば何か良いツールが出来るよね、という制作アイディアも10年以上前から頂いておりました。ただ正直、その頃は手帳にしようとか自社でも作れるのではないかとか、そのような発想自体が私自身になく、そのまま10年近くが経過してしまいました。その後、様々な人々との出会いと意見交換のもと、2019年のみるみる手帳制作に至りました。
②“視能訓練士”へのリスペクト
お恥ずかしながらこの業界に入るまで視能訓練士という職種(資格)を知りませんでしたが、営業していると、この視能訓練士さんのお仕事がとても気になり始めました。国家資格の専門技術職として日々患者様の検査や訓練、ロービジョンケアにまで取り組まれているこの方々に対するリスペクト。その存在と重要性をもっと人々に知って欲しいし、活躍を何かご支援出来たら…と考えるようになりました。
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2019年2回開催したセミナー 多くのご出席を頂き感激しました
現在、AIの医療機器への活用開発・普及が始まっています。AIは一般的にイメージされているほど万能な存在ではありませんが、近い将来、眼位検査や精密な屈折検査は確実にAIに取って代わられるのではないかと推測します。
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眼科医療現場へのAI普及が本格的に始まる
それでは視能訓練士は不要になるのでしょうか。私はそうは思いません。弱視斜視の現場で拝見している通り、小児の検査は特にコミュニケーションが必要です。保護者様や患児本人との信頼関係があってこそよい検査・訓練が可能であり、AIがたどり着くにはだいぶ時間がかかるのではないかと思うからです。
ただし視能訓練士が、より「選ばれる」時代がすぐ来るのも間違いないであろうとも考えます。患者様とのコミュニケーション力に長け愛情深く関わり、“あの人がいるから受診したい”というような視能訓練士がより強く求められると思うのです。
こうした危機感?から、視能訓練士さんに対しても、何か学べたり参考になるような場をご提供できないか、という動機から“みるみるセミナー””眼科専用ページ”を構想企画する事となりました。
③メガネのプロの心意気
さて一方でメガネ専門店メガネ屋さんについてお話しさせて下さい。メガネは古くから存在する“人間拡張技術”の一つとして人間の良好な見え方を引き出すツールです。前職は多くのメガネ店を経営している会社でもあり、メガネのプロとして生きる社員が何人も活躍していて、様々な事を教わりました。
中でも小児弱視斜視治療のためのメガネ、眼科処方せんに基づいての販売になりますが、このお子様のためのメガネ技術(※フィッティングなど)や品質の大切さがとても奥深い事に驚きました。 一か月に50枚~100枚のフレネル膜プリズムを手早く正確にカットしてレンズに貼るメガネ店長。朝から晩まで無料調整で来店するお子様でひっきりなしの店舗。小さい頃から店舗に通ってくれて「ああ、もう大学生になったんだね」と永年のお付き合いになっているお客様。お子様が大きく曲げてきてしまったフレームを、破損しないよう慎重にキッチリと再フィッティングする社員。「メガネを売りつける存在」のように、たまーに傷つく先入観を言われたりするのですが(笑)メガネのプロたちは誠実に、お客様の見え方を担う一員として誇りをもって対応している事を目撃してきました。
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技術と真心を尽くすメガネのプロに敬意
メガネのプロにもフォーカスを
最盛期に全国で1万6千件以上あったメガネ専門店は減少を続けており、2020年中には1万件を割り込むだろうといわれています。
これはコンビニ:ローソンの件数を大きく下回る件数であり、従事する熟練者の減少・メガネ業界のレベルダウンを強く懸念しています。一度失われた技術・供給力というものは実はなかなか回復しません。すでに建設業界がそうであるように、メガネもまたかつてのようにしっかりとした品質・安心というものを提供できない国になってしまうのではないか…そういう危機感を強く持っています。
※蛇足ですが日本の総人口の平均年齢は約47歳(※2020年現在)、平均的に老眼を持っているという言い方もできます。老眼には遠近両用など調節力の衰退を補完するメガネが必要です。この多焦点レンズもまたフィッティングが特に重要なメガネです。
弱視斜視治療用眼鏡は健康保険給付の対象であるにも関わらず、自信を持った最高水準の治療用眼鏡が全国津々浦々にしっかり供給できなくなるのではないか…もっとメガネのプロたちの技術や心意気を知って欲しい…そんな想いがこのプロジェクト構想の第三の動機です。
なにより、子どもの治療には夢がある
-超少子化のなかで-
眼科医・視能訓練士・メガネ店へのリスペクト。そうした経験の中で最も輝いていたのはやはり子どもの笑顔でした。眼科を受診する、メガネ店に行く。子ども達の笑顔、見守る保護者の姿。関係する全ての人々はまさにこのために頑張っています。
世界に例がないほど超少子化が進行する我が国ですが、子どもが少ないからこそ弱視は誰ひとり漏れなく発見され、治療がより前向きに進む事を強く願わずにはいられません。
子どもの健康や幸せを願う想いはどの保護者様も同じです。
みるみるプロジェクトは、リスペクトしてきた“眼科医の先生方”“視能訓練士”“メガネ専門店”など関係者の連携を深める場をご提供し、それぞれのプロフェッショナルが有機的な支援の輪を結べる環境づくりに貢献します。
子どもたちの豊かな未来のために。関係者皆様のご賛同ご参加を頂ければ幸いです。
-法人概要-
- 名称/一般社団法人みるみるプロジェクト
- 設立/2020年4月
- 所在地/福岡県福岡市博多区博多駅東2-5-19サンライフ第三ビル5階
- 役員/ 鈴木 達朗(代表理事) 梅田 将臣(理事)
- 主な提携先/一般社団法人行動評価システム研究所、福岡eスポーツリサーチコンソーシアム、オリエント眼鏡株式会社 など
- URL/ https://mirumirunet.com/index.html
- Mail/ info@mirumirunet.com
-事業内容-
- みるみるプロジェクト運営
- 眼科クリニック支援事業
- メガネ専門店 集客サポート事業
- 産学連携サポート事業
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