全国でたくさんの患児保護者が弱視斜視の治療/訓練に取り組んでいます。
それぞれがどんな想いを胸に、どんな経験をされているのでしょうか。
これから治療に取り組もうとされている保護者のために、みるみるプロジェクトに投稿してくださった経験談/メッセージをご紹介します。
たどり着いた布アイパッチ制作
齋藤 祐子 さん(福島)
子育てママの店アトリエamane https://www.rakuten.ne.jp/gold/atelier-amane/
▷3歳半健診で気づく
2016年2月中旬、3歳半健診の前に自宅に送られてきた紙を使って自宅で視力検査をしたところ、2.5m離れた先にある「C」の向きが全く分からず…
この時初めて「娘は目がよく見えていないのかもしれない」という事に気づきました。
2016年2月13日。
健診で頂いた紹介状を持って大急ぎで眼科へ・・・
この辺で眼科と言えば!という大きな病院で検査をしてもらった結果、以下のような説明を受けました。
「現在の視力は0.5程度。
子どもの目が1.0くらいまで見えるようになるのは4歳の終わりごろだが、
現在の月齢の他の子の平均と極端に差があるわけでもないし、左右の差もそれほどないから
定期検査で様子を見て行くだけで大丈夫でしょう」
眼科で「大丈夫」と言われほっとして帰宅したのですが・・・
▷別の病院で再検査、メガネデビュー
春が近づくにつれ、娘の「より目」に気づくことが増えました。最初は「チック症」か何かの症状なのかな?と考えましたが、
娘の症状を当時やっていたブログに相談事として書いたところ、フォロワーさんから
「やっぱり目が悪いのかもしれない。視能訓練士の友人がいる別の眼科に連れていき、目薬を打つ検査をしてもらった方が良い」
と教えて頂き、別の病院で再検査をしてもらうことにしました。
すると、+1.0D程度だと言われていた遠視が右が+5.00D、左が+4.75D、乱視左右-0.50Dだったと判明。
一生懸命自分でピントを合わせようとしてその結果+1.0D程度と思われていたようですが、とてもピントを合わせきれずにより目になってしまうことが分かりました。
2016年4月の終わりにメガネデビュー。
当時かかっていた眼科に斜視専門の先生がいらっしゃるのは2~3か月に一度でした。
何時間も待ってようやく問診の時間になったと思ったら、
「0.6と0.4。メガネかけて視線がおかしくなければ問題なし」と言われて終了。
「最近以前に増して寄り目がひどくなっている気がして…」と勇気を出して言ってみたけど
「斜視になるのは遠視だから。遠視が治らなければ大人になっても眼鏡を外せば斜視になる」と言われ、終了。
そもそもが分かっていない私は、何を言われているのかを理解できないまま、
本当によくなっていくのかな?とモヤモヤした思いを抱いていました。
2016年9月。
弱視に強いという眼科を探し、受診してみることに。
4歳になりたての子どもが待合室でただただ2時間・・・飽きないよう本を読み聞かせたりはしていましたが、検査が始まる頃にはグズグズです。
「見えない?飽きた?どっち?」「検査にならないな~」「もう、やれるとこだけやりましょうね」と言われ、パパっと検査を済ませた後、カルテに「飽きて検査不能」と書かれていました。
後日、1週間毎日目薬を打ち瞳孔が開いた状態で再度精密検査をしてもらい、ここで初めて「弱視の可能性あり」との診断を受けました。
目がおかしいかな?と気づいてから娘が弱視だったとわかるまで、半年以上が経っていました。
弱視だった場合「アイパッチ」というものをつけてトレーニングをする可能性があることを初めて知った私は、ネットで色々な情報を集め始めました。
眼鏡だけでどうにか視力が上がってくれればと思っていましたが、視力はなかなか上がらず、眼科からの指示で2017年2月17日、アイパッチデビューとなりました。
▷泣いて帰ってきた娘
子供用とは言えかなり大きいから、隠さない方の目の目頭ギリギリまでシールがきてしまい、鼻あてが皮膚に当たらず滑ってメガネがずり落ちる。(これがすごく嫌らしい)
肌荒れしないように少し粘着力を弱くしてから顔に貼るよう言われたが、子どもは自分で剥がしたがるし、どんどん粘着力がなくなり、しまいには貼れなくなる。
でも、敏感肌体質なのでそのまま貼るには勇気がいるから難しい・・・
目にシールを貼って登園した娘が、
「泥棒って言われた」
と泣きながら帰ってきたことがありました。
おそらくお友達は、その見た目から
「海賊」と言いたかったのでしょう。
きっと悪意はなく、思ったまま純粋な感想を
言っただけだったのだと思いますが、
やはり胸が苦しくなりました。
「まだ小さいのに眼鏡だなんて可哀そう」
という発言も、やはり何度か言われました。
治療せず見えないまま大人になる方が可愛そうなのだからと自分に言い聞かせぐっとこらえましたが、
娘の前で「可哀そう」という言葉を言われてしまう事には大きな悲しみがありました。
まん丸眼鏡に変えた時から周囲の反応はガラッと変わり「アニメから飛び出してきたみたいだね」と褒められることとが多くなりました。
目にシールを貼る以外の方法でどうにかできないかと模索する日々…
サイズ感や形状などいくつもの試作を繰り返し、娘の布アイパッチは完成しました。
親の私が見ても少しギョッとしてしまっていた
シールタイプのアイパッチも、
娘に選ばせた可愛い柄の生地で作ることで
「特別なオシャレアイテム」として
認識されるようになり、
お友達から
悲しい言葉をかけられることもなくなりました。
「大人になっても免許を取れるほどの視力が出るかどうか・・・」と言われていた娘でしたが、ほぼ毎日、左右2時間アイパッチトレーニングの時間を設け、読書、塗り絵、迷路、絵探し、ひも通し、間違い探し、シール貼り、たまにゲーム・・・とにかく目を使うことを意識して頑張った結果、2017年8月29日、半年ほどでアイパッチを卒業することができました。
娘のために作り始めた布製アイパッチでしたが、SNSで見た方々から「うちの子にも作ってもらえないか」と連絡を頂くようになり、オーダーメイドでアイパッチを製作・販売するようになりました。
▷みるみるプロジェクトとの出会い
日々お客様から弱視に関する様々な悩みを
うかがっている中で、
もっと何かできないかな?と考えていた時に、
「みるみるプロジェクト」さんの活動を知り、
「こんな良いものがあるならもっと広まってほしい!
広めるためのお役に立ちたい!」と思い、
こちらから連絡をさせて頂きました。
「みるみるネット」には、
当時の私が知りたかったあらゆる情報が
網羅されていました。
子どもが今置かれている状況を的確に理解し、
どのようにサポートしていくべきかに悩んでいた
7年前の私がこのサイトに出逢っていたら
どれほど救われたことでしょう。
▷【みるみる手帳について】
検診時、慣れない専門用語や数字を聞き取るのは、
ド素人の私にとって大変なことでした。
母子手帳の予防接種記録のように、
眼科さんで子どもの視力を記録してくださるようになったら、親としては本当にありがたいなと思います。
また、メガネの調整で訪れると
メガネ屋さんにシールを貼ってもらえるという「みるみるステップ」のページも素晴らしいと思いました。
私にとってメガネ屋さんは「メガネを買うところ」という認識で、それ以外で訪れることはないと思っていたのですが、
赤ちゃんだった息子に破壊されたメガネを
調整してもらわなければいけず、
度々街のメガネ屋さんを訪れるようになりました。
毎回申し訳ない思いで訪れていたのですが、
子どもの目の事やメガネについての豆知識を色々教えて下さったメガネ屋さんは本当にありがたい存在で、
共に子どもの目の成長を見守ってくれる応援団のような存在となりました。
息子がいたずらをしなくなりメガネ屋さんを訪れる頻度は減りましたが、引っ越した今でもメガネを買い替えるたびに相談に乗って頂き、新しいメガネを作って頂いていて、とても良い関係が築けています。
(斜視があるので今もメガネ愛用中です)
私と同様に「メガネの調整だけで訪れるなんて…」と思っている親御さんはとても多いと思うので、
この手帳をきっかけに、もっと多くの人が気軽にメガネ屋さんに足を運べるようになったらいいなと思います。
赤ちゃんを妊娠すると「母子手帳」が交付されるように、メガネをかけるようになった子どもたちみんな「みるみる手帳」が届けられる日が来たらいいですね!!
この手帳が
「眼科さん」「メガネ屋さん」「お父さん・お母さん」
を繋ぐ架け橋になることで、
弱視の子どもたちをみんなであたたかく見守っていける社会になったらいいなと思います。
(関連ページ)アイパッチってなに?種類/訓練方法/コツなど
みるみる解説ページはこちらhttps://mirumirunet.com/glasses/index.html#eyepatch
みるみるプロジェクトでは弱視斜視治療に取り組んでいるor取り組まれたご経験のある保護者さまからの投稿をお待ちしております。
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